2023/06/06 14:06

5月下旬、昨日の雨から一転 快晴の中 初めての栃木県へ。

革を触り始めた頃からいつか訪れてみたかった場所 栃木レザーのタンナーさんへ。
ついに念願叶ったわけです。前のめりになった気持ちを抑えつつお邪魔してきました。

皮から、革へ。
私たちが商品として扱う皮革は、革問屋さんから仕入れています。
革問屋さんは革屋さんやタンナーさん(革工場)から革を発注します。
タンナーさんは原皮から皮革へと加工するプロフェッショナルです。

今回、伺った栃木レザーの工場は、原皮をじっくりと時間をかけて植物性タンニンで鞣してヌメ革にして染色や仕上げをして出荷までをされています。簡単に言うとそういう説明になりますが、出荷されるまでの工程は約20にも及びます。そのひとつひとつを工場長さんが詳しく説明してくれました。

工場の入り口を入ると高く積まれた袋がまず目につきます。タンニン鞣しの原材料となるミモザの粉です。
早速工場の中へ。「グロイですよ」と言われて目に留まったのは毛付きの革たち。黒いのも茶色のもまだらなのもあります。
一頭まるまる一枚です。私たちは普段、牛革は半裁で仕入れます。一枚の状態は初めて見ました。半裁でもたたみ一畳以上の大きさですからダブルのお布団よりも大きいでしょうか。


塩漬けされてやってきた皮たちを木の太鼓(超大型の洗濯機みたいなもの)でしっかり洗い、背中で半分に切ってから次の工程へ。

濃度の違うピットで脱毛しやすくしていきます。原皮を石灰乳に漬けることでコラーゲン繊維をほぐして皮の柔軟性を高めるそうです。
膨らんだ皮はプニュプニュしたような見た目でこの段階で見るとまだ皮でした。大型のローラのような機械で厚み調整をしながら余分な脂肪や汚れを取り除き中和させて分解除去。ここまでがベジタブルタンニン鞣しの為の下ごしらえといった感じでしょうか。


皮は大きく重いので力仕事です。一枚の皮も水分を含むとそれは重労働です。ひとつの持ち場をチームで作業。

ここからがベジタブルタンニン鞣しの工程です。一度にギュッと鞣すのではなく、薄い層から濃い層へじっくりと時間をかけて漬け込んでいきます。皮の繊維層にタンニンをしっかり浸すことで皮が引き締まります。そのままでは硬いので加脂して革の伸縮性を高めます。驚いたのはその油の種類です。革なのに!?それを使っているとは!!(それが栃木レザーの秘密なのかと思わずメモしてしまいました)

そのあと機械で革を伸ばしたり乾燥させたり、厚み整えるために漉いたりします。乾燥させてる革が並んでいるところは圧巻です。
この段階で革になっていました。純度100%のヌメ革です。


ここからはさらに太鼓(木のドラム)で再鞣しや染色をして再び伸ばしたり乾燥させた後に表皮(表面)と床面(裏面)の間には部位によって繊維が緻密なところや荒いところがあるので機械に通して振動を与えて柔らかくしたりと。一枚の革を一番良い状態に仕上げるまでにここまでの工程があるということ。
いよいよ仕上げ段階になりアイロンで熱を加えたり塗装やガラスで磨いたり見た目の風合いをあげます。お化粧みたいなものでしょうか。

最後に軽量、梱包となり出荷されます。

全ての工程を見せていただき、最後に排水設備も見学させていただきました。
栃木レザーでは井戸水を使用してバイオマスの利用で浄化させた水は再利用したり川に戻せる濃度までして残りカスになったものを肥料に活用したりと循環させているそうです。

サステナブルといわれる近頃、ビーガンレザーやボタニカルレザーというものにも注目されるようになってきましたが、製造方法によってはより多くの化学薬品やエネルギーを使うことになるのです。昔ながらの手法で鞣すというのは手間暇はかかりますが環境的にも究極なのではと学びました。

皮が革になっていく過程を本や映像から知るのとは違い、作り手として扱う革の良さをしっかりと伝えていけるようになりたいと強く思うのでした。




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