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2026/07/15 15:03
離れて暮らす娘へ
ある時、電話が鳴りました。「先日、通販で注文した者ですが…」お客様からの連絡は何か不具合かまあったのかと毎回少し身構えてしまいます。
お話を伺うと1週間ほど前にウェブストアからのご注文でバースデーギフトラッピングをして発送をした方でした。送り先は別というのはよくあることで慎重にお話を聞くと…。
「いやね、娘から電話があってね。とても喜んでくれたんだけど、電話口で突然バースデーソングが流れてね。ラッピングについてたカードから曲が流れたようで、娘は泣きながら喜んでくれてね。それを聴きながらこっちまで嬉しくなってお礼を言いたくて電話をしてしまいました」そう聞いて私は思わず笑顔になりました。
「そんな風にわざわざご連絡をいただけてこちらの方こそ嬉しくて本当に日々の製作の励みになります」とそう伝えて電話を切ってからしばらく余韻に慕っていました。
革を裁ち、縫い、磨き、箱に詰めて送り出す。仕事はそこまでだと思っていました。
でも違ったのです。
その先にはプレゼントを開ける瞬間があり、笑顔があり、私たちは革製品だけを作っているのではなく、誰かの大切な日のお手伝いもしているのかもしれない。
そう思ったら胸の奥がじんわりと温かくなりました。
その先にある物語のお手伝いをさせてもらっているのかもと感慨深い気持ちになったのでした。
12年ほど実店舗を併設した革工房を持っていました。今はほどよく田舎に移住して住みながら工房を構えて毎日、季節を感じながらゆっくりと流れる時間の中で楽しみながら製作をしています。これまでに出会った心に残るエピソードを綴っていこうと思います。(このショートストーリーは実話をもとしています)


